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国民の税金で私企業である"そごう"を救っていいのか。 そごうの債権放棄をめぐって議論百出の状況になってきました。でも"そごう"の話などどうでもよいのです。今回明らかになった問題の全貌から見たら、"そごう"の話など小さな小さな問題だからです。政府は「そごうへの債権放棄は例外だ」といっています。たしかに「債権放棄」については、"そごう"だけが例外的措置ということになるかもしれません。しかし、問題の本質は債権放棄をするかどうかではなく、旧長銀の債権を引きついだ米国の投資会社リップルウッドと金融再生委員会との間で結ぱれた国賊的契約の存在なのです。 灰原澄男氏(ペンネーム)の原稿の抜粋をお読み下さい。7月11日登録 実は新生銀行は「ごっつあん銀行」だったのです。(融資先がつぶれると「ごっつあんです」といって肥えるという意味) ふざけるな。!! ゴールドマンサックスは再生委のアドバイザーとして何をアドバイスしたんでしょう。まさか外資同士、リップルウッドに有利になるようにアドバイスしたわけじゃないだろうねえ。 くやしいけどやっぱりこんな契約を結んだ再生委が悪い。 いいですか、みなさん、これは法律でもなんでもない。金融再生委員会の事務局の無責任な役人どもが、国会にももちろん国民にもいっさい情報公開せずに、勝手に結んでしまった契約によって生じた問題だということを知って下さい。だから自民党の野中広務幹事長もそごうの債権放棄について「初めから知っていたら許さなかった」と怒りをあらわにしたのです。おそらくその言葉に嘘はないでしょう。 もう一度繰り返します。これは法律ではない。金融再生委員会が、リップルウッドとの間で交わした契約にもとづいているだけなのです。 「役人にそんな権限があるのか?」 私はないと思います。もちろん法律に基づいて、国有銀行を民間企業に譲渡する権限を彼らが持っていることは間違いありません。しかし「融資先がおかしくなったら、国民の税金でみんな買い取りますよ」などという権限を、金融再生委員会などがもっているわけがないでしょう。 国民を納得させる気など役人にはさらさらないからです。今回の経緯に詳しい関係者のひとりがこんなことを言っていました。 「そごうの債権放棄は国民負担を結果として最小化するための苦渋の選択などと政府は言っているが、国民負担を小さくしようなんて価値観をもっている役人はひとりもいません。彼らは自分たちの責任逃れしか頭にない。国有化された旧長銀と旧日債銀が手元で何か問題を起こしたら自分たちの責任になってしまいます。だから―日も早く、売却したい。手元から放したい。売却までの法的ブロセスさえしっかりやっておけぱ国会に耐えられる。それだけしか頭になかった。だからあんなでたらめな条件で売り払ってしまったのです」 ひどいものだ。再生委員会とリッブルウッド社とが結んだ契約のなかに「暇症担保責任」の条項があるいじょう、新生銀行から国への債権買取請求は延々と続きます。債権放棄をするかどうかにかかわらず、この条項がある限り、国は買わざるを得ないのです。"ごっつあん銀行"とはまさにいいえて妙です。 こうなったら選択肢はひとつしかありません。リッブルウッドとのデタラメな譲渡契約を無効にするのです。もちろんそんなことをしたら、リッブルウッドは契約不履行を理由に損害賠償請求をしてくるでしょう!
(財部誠―レポートより抜粋) |