神奈川大学吹奏楽部2002年度自由曲解説

神大2002年の自由曲は、な、な、なんと、バルトーク作曲「中国の不思議な役人」に決まったようです。

「中国の不思議な役人」といえば、私が4年の時(昭和54年普門館)、駒沢大学がコンクール初演した曲です。この時の駒沢には、今、作曲家として有名な建部君が4年でサックスを吹いてました。

金管の活躍する曲で、特にトロンボーンは大活躍です。当時の駒沢のトロンボーンはスピード感、リズム感があり、音量も豊かで、すばらしい演奏でした。平成12年のコンクールでも駒沢大学が久々に「中国の不思議な役人」を演奏しましたが、当時とは全然違う音色館で、それなりに魅力的な演奏でしたが、説得力は断然当時の方が上だったと思います。

さて、神大は今年、どんな演奏をしてくれるのでしょうか。

曲の解説としては、ハンガリーを代表する作曲家バルトークのバレエ音楽で、バレエの中にパントマイム的要素を取り入れた作品です。台本はハンガリーのメニヘールト・レンジェルの「グロテスクなパントマイム」と記されたシナリオをバルトークがバレエ化しました。

物語は「3人のならず者が1人の美しい娘をつかって金持ちの男を誘惑し、金品を奪い取ろうと企むが、まず、一人目は「愛が全てだ」ととく老人、2人目は貧乏な青年で、計画は失敗に終わります。しかし、3人目に不思議な中国の役人が現れる。娘はなまめかしい踊りで誘惑する。中国人も娘を捕らえようとする。そして、そのとき2人のならず者が登場、金品を奪い取り、クッションを押しつけて窒息死させようとする。役人は抵抗する。2人はナイフで刺し殺そうとする。しかし、愛に燃えた役人はそれでも屈せず女への執着に最後のあがきを見せる。役人は宙づりにされるがそれでも息絶えない。男たちは不気味におののくが、その姿をみた娘は役人を自由にし、彼の欲望を満たすことにする。役人は満たされ、性に対する執着が消え、その直後に息絶える。という話です。

このようなテーマのため、初演はケルンで1926年11月27日ハンス・シュトローバッハの振り付けで行われたが、物語が不道徳なため1回だけの上演で禁止となった。しかし、1927年のプラハでの公演が成功したので、バルトークは何とか祖国(ハンガリー)でも公演したいと1931年3月25日に計画するも、直前にキャンセルとなり、生前祖国で演奏されることはなかったのです。

さて、このような不道徳のテーマ、小澤先生は以外にも得意なのです。

思い出してください。銚子商業時代、「サロメ」をコンクール初演したのは小澤先生です。サロメなんて女性が洋服を1枚1枚踊りくるって脱いでいく話です。岐阜で言えば「まさご座」でやってるような話です。そんなテーマを高校生にやらせたのです。「サロメ」は神大でもコンクールで2回演奏され、特に平成10年滋賀県大津での全国大会の「サロメ」は演奏終了後、場内全体が騒然とするほどの拍手、歓声でした。

いままで「中国の不思議な役人」といえば、派手な演奏イメージがあると思いますが、多分、小澤神大は、ストーリーのエロチックなところを充分表現した、大人の演奏をしてくれるのではと、OBながら期待しております。

現役の皆さん。がんばってください。