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私の体験談

中高年男性の自殺者が急増

●自殺者数はバブル時代の6倍に

警察庁の発表によると、2001年には年内の自殺者は3万1,042人にのぼり、1998年以降3年連続で3万人を超えた。男女別では男性が7割と圧倒的に多い。年代別では40代が4,643人、50代が7,883人、60代が1万891人と、中高年で全体の75.4%を占める。自殺の原因はトップの「健康問題」(40.1%)に続き、不況による生活苦が動機とみられる「経済・生活問題」(31.5%)が第2位を占める。自殺の発生率は失業率と密接にリンクしているため、ここ20年間ではバブル時代の1990年が最も自殺者数が少なく(5,000人程度)、現在の自殺者数はその6倍にのぼる。長引く景気低迷、高齢化社会の進展などを考えると、今後ますます中高年の自殺が増加することが予想される。

●地域や職場と連係して自殺予防対策を推進する

そのような現状を打破するために、自殺の防止対策を審議している厚生労働省の「自殺防止対策有識者懇談会」は8月7日、自殺防止対策の提言案をまとめた。自殺予防のためには国民全体の心の健康の保持・増進が重要であり、その中でも自殺の背景として重要な「うつ病」「抑うつ状態」の対策を提言している。具体的には、医者や専門家の知識・技術レベルのアップ、訪問指導の充実、事業場内外における労働者の心の健康づくりのための相談体制の充実など。国が一方的に指導するのではなく、医療機関や地域、職場、マスメディアなど、さまざまな機関と連係し、最終的には2010年までに自殺者数を2万2,000人に抑えることを目標に掲げている。

●自殺を防ぐためには雇用対策も必要

厚生労働省はこれまでにも、自殺防止についてさまざまな対策や提言を行ってきた。2000年8月には「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を発表し、労働者や管理職のためのメンタルケアを指導している。その甲斐もあってかここ2年間、自殺者数はわずかながら減少している。地道な取り組みだが、今後も心の健康に関する教育や相談体制の充実に取り組むことでそれなりの効果はあるだろう。

だが、自殺率と失業率がリンクしていることから考えても、自殺対策とともに失業対策・雇用対策が欠かせないと考えられる。自殺の主要原因である経済的不安を解消するためには、メンタルケアだけでは不十分だろう。厚労省では経済問題を抱える人々に対する相談や支援について考えるとしているが、同時に失業時の経済的不安を軽減するために失業手当の受給期間を延長したり、生活保護の受給要件を緩和するなどの制度変更も視野に入れるべきだ。ワークシェアリングの促進も失業率の抑制に有効と思われる。

過労死自殺への対策も不可欠だ。ここ数年、過労死の認定基準が緩やかになったこともあるが、過労死の申請数は明らかに増えている。リストラが進み、職場に残された労働者の負荷が増えた結果、うつ病から自殺に追い込まれる例が少なくない。メンタルケアとともに、職場の労働条件にも目を向けることが必要だろう。